取引先から突然「CFP」「Scope3」「排出量データ」を求められ、何から手を付ければよいか分からない中小・零細企業は少なくありません。必要な対応は思っているよりシンプルです。このページでは、最低限必要な対応と、損をしない考え方を整理します。安心して一つずつ確認していきましょう。
なぜ、あなたの会社にCFPが求められるのか
取引先企業は、IFRS S2やサステナビリティ開示基準により、Scope3算定の義務を負っています。そのため、「あなたの会社の排出量=取引先のScope3」という関係になります。
重要: 取引先がScope3をやるために、あなたがScope1・2・3を全部やる必要はありません。これが最も多い誤解です。
CFPとScopeの違い(ここが最大の誤解点)
多くの中小企業が混乱するのは、この2つの概念を区別できていないからです。実は、求められているものは明確に異なります。
CFP(カーボンフットプリント)
●製品・サービス単位の排出量
●取引先に渡すための情報提供
●削減義務・目標設定は原則なし
●取引先対応の多くはこちらで十分
Scope1・2・3
●組織(会社)全体の排出量
●経営責任・説明責任が伴う
●上場企業・開示義務主体向け
●中小企業には過剰な場合が多い
取引先から「Scope3対応のため」と言われても、実際に求められているのはCFPデータであることがほとんどです。
よくある誤解と不安
実際の相談現場でよく聞かれる質問と、その答えを整理しました。多くは誤解に基づく不安です。
「Scope3と言われた=自社もScope算定が必要?」
いいえ。取引先のScope3に必要なのは、あなたの製品・サービスのCFPです。組織全体のScope算定は不要です。
「削減計画まで求められる?」
原則として不要です。CFPは情報提供が目的で、削減義務を伴いません。
「数字が悪いと取引に不利?」
多くの場合、データの有無が重要で、数値そのもので取引判断されることは稀です。
「間違えたら責任を負うのでは?」
合理的な算定方法に基づいていれば、責任リスクは限定的です。完璧である必要はありません。
実務で一番安全な切り分け方
「あなたが、私向けに提供した製品・サービスに含まれる排出量」
これは本質的にCFP(サービスCFP・製品CFP)です。
Scope算定ではありません。
「言われた通り出す」だけで起きる問題
コストと時間をかけてデータを作成
あなたのデータで取引先が高評価を得る
コストは自社負担、価格転嫁は困難
これがいわゆる「Scope3に飲み込まれる構造」です。真面目に対応すればするほど、自社の負担だけが増える悪循環に陥ります。環境対応は事務作業ではなく、経営判断として捉えるべきです。
Nature-based Solutionsが提案する
「戦略的CFP」という考え方
CFP対応は事務対応ではなく、経営判断です。
私たちは、環境価値を戦略的に3つに分けて設計します。それぞれに異なる目的と活用方法があります。
取引先に提供する最低限の情報。Scope3対応に必要なデータとして開示します。
Scope3には渡さない、自社の強み。技術力や改善活動として自社に残します。
Scope3とは切り離した独立した環境価値。別の付加価値として管理・活用します。
戦略的CFPでできること
01
取引先のScope3には協力する
必要なCFPデータを適切に提供し、取引関係を維持
02
削減努力は「能力」として自社に残す
技術改善や効率化の成果を自社の競争力として保持
03
吸収・除去は別の環境価値として管理
独立した付加価値として、将来的に収益化の可能性を確保
04
損をしないCFP対応が可能になる
コストをかけた分、自社の資産として残る仕組みを構築
中小企業にとってのメリット
01
過剰なScope対応を避けられる
本当に必要な対応だけに絞り、無駄なコストを削減します。
02
将来の削減義務を背負わない
CFPとScopeを切り分けることで、不要な責任リスクを回避します。
03
取引先からの信頼を確保
適切な情報提供により、継続的な取引関係を維持します。
04
環境対応を競争力として使える
削減努力や環境価値を、自社の強みとして活用できます。
Nature-based Solutionsができること
・CFP算定範囲の整理と設計
・Scope3との責任切り分け設計
・削減努力・吸収価値の方法論化
・取引先・監査向け説明文の整備
・将来の制度変更にも耐える設計